2010年3月29日月曜日

ドルフィンセーフ

ワシントン条約会議での、大西洋クロマグロの商取引禁止が否決され、日本国内には「よかったよかった」感が漂っているが、違法操業が取り締まれない今のままでは本当にクロマグロが絶滅の危機を迎えることになるかもしれません。

ところで、 太地町でのイ ルカ漁を隠し撮りした『ザ・コーヴ』が、アカデミー賞を受賞した影響かどうか分からないが、「ドルフィンセーフ」という言葉が最近注目されているらしい。

これは、アメリカなどのツナ缶に付けられているドルフィンセーフ・マークの事で、缶詰の材料になるマグロ漁をするときに、マグロと一緒にイルカを捕獲する事のない漁法が行われていることの証です。

日本のツナ缶やキャットフードの中心的材料となる キハダマグロの漁法である「まき網漁法」はマグロの群を網で囲んで一網打尽に する漁法ですが、 この時マグロを集まりやすくするために漂流物に似せたイカダの様なものを流し ます。
こうした漂流物もマグロの群れもイルカが好むものなので、まき網漁ではイルカ が一緒に捕獲されてしまことがあるようです。
このような漁法で捕獲されていなマグロが「ドルフィンセーフ」です。
一本釣りやはえなわ漁は餌づりですから「ドルフィンセーフ」の対象だと思います。

つまり手間暇の掛かる方法で捕獲しないと行けないと言うことで、当然缶詰の値段も高くなる。

マグロの問題は、クロマグロだけでなくまだまだ様々な視点があるんですね。

かなり前から活動は進められていたみたいです。

http://homepage1.nifty.com/IKAN/hogo/sonota/040216.html


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このブログはフィッシュサステナビリティーについて考えています。

2010年3月12日金曜日

クロマグロの次はメバチ?キハダ?

水産庁のプレスリリースによると
インド洋まぐろ類委員会(IOTC) の第14回 年次会合が開かれて、メバチとキハダに禁漁期間を設けることになったみたいです。これは、産卵海域・稚魚保護などを目的にテスト的におこなうもので、こうしたことが必要になってきたということは、メバチ・キハダも安閑としていられないということでしょう。

もっとも、ミナミマグロなどはとっくにワシントン条約のリスト入りしてもおかしくない状況のようです。

以下、水産庁のプレスリリースの一部。
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(1)総許容漁獲量(TAC)及び国別漁獲割当の設定
今次会合においては、メバチ、キハダのTAC及び国別割当の設定はなされず、2012年の年次会合でのTAC及び国別割当の採択を目指して、今後、 途上国の漁獲量把握方法の改善や国別割当基準の作成を行っていくこととなった。
(2)資源回復のための操業規制区域・期間
メバチ、キハダの産卵海域・稚魚保護などを目的として、インド洋北西海域の一部に、1ヶ月間(まき網:11月1日~12月1日、はえ縄:2月1 日~3月1日)の禁漁期間を設けることが決定され、2011年の科学委員会で、その効果を評価し、修正の必要性を委員会に勧告することとなった。
[現在、同区域での我が国の漁船の操業実績はない。]
(3)資源管理措置等の遵守の改善
加盟国の資源管理措置等(漁獲データ提出義務、漁船登録義務等)の実施状況を確認するため、年次会合の前に遵守委員会を開催し、実施していない国へ の対応を検討していくこととなった。

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このブログは、フィッシュサステナビリティー(Fish sustainability) について考えています。

2010年3月9日火曜日

日本人はどれくらいマグロを食べているのか

いよいよ大西洋と地中海のクロマグロが、ワシントン条約で取引禁止になりそうな趨勢です。

ICCAT=大西洋まぐろ類保存国際委員会の規制だけでは不十分だ、ということで今回の取引停止案が提出されている。こんなことになる前に何かできなかったのかと、つくづく思います。日本の主張としては、大西洋のマグロは注意深く漁獲量規制を守っていれば、漁業を継続できるだけ十分生息している。しかし、違法に操業したり、捕獲量を誤魔化す者がいるのが問題。というものでした。
あえていれば、ただそう主張してきただけかもしれない。
クロマグロに関しては、漁獲規制による捕獲量を超える量を輸入して、食べちゃっているらしいのだから。
欧米の国々が、違法操業が取り締まれないのなら、取引停止にするしかない、と言うのはある意味妥当性のある結論かも知れない。

ところで日本人は、どれくらいマグロを食べているのでしょうか。

FAO=国連食糧農業機関のデータによると
世界のマグロ消費量は
1975年約90万トン
2000年約190万トン
2004年約230万トン
と増え続けてきたが、
2008年は206万トンと
ここ数年は、規制などもあって減少傾向にある。
2008年データでは日本人が食べているのは54万トンで約四分の一。
数年前には60万トンを超え、比率も三分の一近かったので割合、量とも減少している。
欧米や中国での消費拡大も影響しているかも知れない。

魚種別で世界全体に占める日本の割合をここ数年の平均値でみると
ミナミマグロ=約10割
クロマグロ=約8割
メバチ=約6割
ビンナガ=約2.5割
キハダ=約2割
 となり、高級とされるクロマグロとミナミマグロのほとんどが日本で消費されており、この2種の保護について、日本の責任の重さが実感される。

クロマグロの価格は、規制を誤魔化しやすい畜養や違法操業による漁獲量の水増しのおかげで値下がりして、回転寿司屋でも使えるということだ。

値段が安いから、畜養業者は益々出荷量を増やさなければ採算がとれないという悪循環もあるらしい。日本のマグロ漁は正に清廉潔癖、一筋も違法な部分はないらしいが、正しい漁業さえしていればそれでよいということではなかった。違法なマグロを食べることは、やはり違法なのだという認識の欠如。
その規制に本気で取り組まなかったのが、現状を招いているのかも知れません。

消費量の半分以上を占める輸入クロマグロが途絶えたら、なおさら近海のクロマグロをしばらく休漁するなどして資源の育成期間が必要ではないでしょうか。

魚の持続可能性=フィッシュサステナビリティー(Fish sustainability) について考えてみましょう。