2010年1月24日日曜日

畜養ミナミマグロを通販で買ってみた

ミナミマグロは日本ではクロマグロに次ぐ高級種。IUCNのレッドリストでは、1994年に"CR"(Critically endangered)、マグロ類のみならず野生動物としても最も絶滅が危惧されている動物の一つとして記載された。同じ1994年、主要な漁業国だった日本、オーストラリア、ニュージーランドによって「みなみまぐろ保存委員会」が設置された。

ミナミマグロは絶滅危惧種なのだ。そのことは知っている。

ネットの通販サイトで「ミナミマグロ激安!送料込み2,×××円」 を発見。
ネット通販でも買える「絶滅危惧種」って、と思い購入してみた。
クール宅急便で届いた冷凍の包みを見て、はじめて納得。

「南マグロ大トロ」「オーストラリア産畜養」とあった。
「天然」ではなく「畜養」だったのだ。

「畜養」ならば天然と違い、魚の持続可能性(フィッシュ・サステナビリティー=Fish sustainability)に配慮されているのだろうか。

ところが、そうではなさそうなのだ。

畜養とは、天然のまぐろを取ってきて、それを人工的に成育させているという事です。つまり、畜養マグロはもともと、天然マグロなのだ。以前までまぐろの畜養に用いた天然マグロは、体重にして30キロ前後のある程度成長した天然マグロだったが、現在ではまぐろを小魚で捕獲して畜養する ケースも目立ち始めている。つまり、大量の子マグロを大きくなる前に捕獲してしまっているのだ。
これが進めば生魚は益々減少することになる。
卵を孵化させて育てる=いうならばゼロから人の手で生み出す「養殖」とは似て非なるものなのだ。

畜養の問題は、青田刈りで生魚を減らすだけでない。
畜養マグロを育てるには、大量のエサが必要で、このエサも当然天然資源なのだ。
畜養マグロの体重を10キロ太らせるためには、200キロ前後にも及ぶエサが必要といわれ、イワシなどの他の種をエサとして与えている事になる。
餌となる魚が必要以上に捕獲されたり、本来の生育地域と異なる海に持ち込まれたり、海洋生態系(食物連鎖)のバランスが崩れる可能性が指摘されている。

畜養は、乱獲だということもできるかもしれない。

2010年1月20日水曜日

3月にクロマグロ全面取引禁止?!

日本人が消費の8割近くを占めるとされる「クロマグロ」が全面取引禁止になるかも知れない。

昨年モナコが大西洋と地中海のクロマグロの国際取引の全面禁止をワシントン条約事務局に正式提案した頃は、「そんなバカな」という反応もあった。
しかし、アメリカが大西洋に太平洋も加えたすべてのクロマグロの国際取引を禁止する案を、3月のワシントン条約締結国会議に提案するらしい、という情報が流れて一気に現実味を帯びてきた。
理由は日本市場に向けて、大量に捕獲、輸出された結果、絶滅が心配されるまで個体数が激減したからだという。

昨年11月15日には、大西洋クロマグロの資源管理機関「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT)が、ブラジルで開いた年次総会で、2010年の東大西洋と地中海のクロマグロの漁獲枠を09年と比べ約4割減の1万3500トンに削減することを全会一致で決めた。
水産庁によると、同海域での漁獲枠の引き下げ幅としては過去最大。
日本の枠も今年の1871トンから来年は1148トンになるという。 

アメリカはそれでも捕獲量が多すぎると主張。全面禁止の声を強めている。 


日本だけで食べていたらこんな事にならなかった。(中国、欧米食べないで)
ルールを守って操業していたらこんな事にならなかった。(違法操業やめてくれ)
計画通りに捕獲すれば減ることはない。(計画信じてくれ)


そんな、言い訳で乗り切れるのだろうか。
ひとまず、3月にカタールのドーハで開かれる、第15回「ワシントン条約(CITES)」締約国会議に注目です。


大間のマグロもご禁制になってしまうのか!(捕れても食べられないけど)




2010年1月17日日曜日

マグロの種類と状況

日本の食文化に燦然と輝く高級魚の代表、マグロ。
高級寿司屋から回転寿司、高級割烹から定食屋まで、どこでもお目にかかれるマグロ。
でも、実際には絶滅危惧種にしていされている種もあって、サステナ(持続可能性)の危機にあるのだ。
ひとまず、マグロの種類と状況をまとめます。
タイセイヨウクロマグロのワシントン条約入りなどの動きもあり、今年は下のリストに変動もありそうなので、注目します。

クロマグロ(黒鮪)
本近海を含む太平洋の熱帯・温帯海域に広く分布する。
マグロ属で最も美味で、最上等種。
□タイセイヨウクロマグロ(大西洋黒鮪)
マグロ属、ひいてはサバ科でも最大種である。地中海・黒海を含む大西洋の熱帯・温帯海域に分布する。 IUCNレッドリストで絶滅危惧種のDD(情報不足)に記載されている。
ミナミマグロ(南鮪)
南半球の南緯60度までの亜熱帯・温帯海域に分布する。
IUCNレッドリストではCR(絶滅危惧IA類 : 最も絶滅が危惧される動物のランク)に記載されている。
「ミナミマグロ保存委員会」がある。
メバチ(メバチマグロ/目鉢)
和名「メバチ」や英名"Bigeye tuna"は、大きな目に由来する。
赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息する。
世界的な漁獲量はキハダに次ぐが、日本での流通量は最多。IUCNレッドリストVU(絶滅危惧II類)。
ビンナガ(ビンナガマグロ/鬢長)
体長1m程の小型種。「ビンナガ」の称は長大な胸鰭を鬢(もみあげ)に見立てたもの。
赤道から南北に緯度10-35度の熱帯・亜熱帯海域に広く分布する。
IUCNレッドリストDD(情報不足)。
キハダ(キハダマグロ/黄肌・黄鰭)
第二背鰭と尻鰭が黄色で鎌状に長く伸び、体表もやや黄色を帯びる。
赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息し、漁獲量は8種の中で最多。
IUCNレッドリストLC(軽度懸念)。
□コシナガ(腰長)
マグロとしては小型種である。和名通り尾柄が長く、他種よりも体型が細長い。
キハダと体型が似ているが、尾部が比較的長いため、この名が付けられた。
日本南岸からフィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、マレーシア、インド、アラビア半島南岸等の沿岸域に分布している。
□タイセイヨウマグロ
タイセイヨウマグロの生息域は大西洋西部海域に限定される。
まぐろ類中、小型で、最大体長約1m、体重約20kgほどであり、一般的には72cmで6〜7kgである。

2010年1月12日火曜日

マグロの持続可能性について

マグロが高嶺の花になる。
マグロが捕獲禁止になる。
マグロが食べられなくなる。

マグロが食べられなくなったら死んでしまいたくなるほど、マグロが好きなわけではない。
でも、今大切なのは私たち日本人があらゆる魚の持続可能性について考えることだ。
その象徴がマグロだ。
マグロの未来への不安は、20年ほど前から話題になっていた。
同じ頃、ある政治家が尖閣列島の帰属問題で発言した『難しいテーマは賢い次の世代に任せよう』と言った言葉は、私たち日本人の多くがマグロの持続可能性について持っているイメージと共通している。
銀座の寿司屋で一貫2万円のマグロもあれば、回転寿司で一貫100円のマグロもあるのだから当分食べるに困ることはないだろう。難しい国際問題とかはその時なって考えればいい。
そんなところだろうか。
問題は、どうやったら銀座久兵衛でマグロを食べられる財力を得るかだ。

ん、間違ってはいないかもしれないが、ちょっと考えてみたい。
高級クロマグロだけだなく、お手頃なキハダマグロやミナミマグロがどんどん減っているのだ。

私はマグロの専門家では無いけれど、ここを通じて学習しながらマグロの持続可能性、魚の持続可能性(フィッシュ・サステナビリティー=Fish sustainability)について考えていきたいと思う。

外国人の友人に『結局日本人は食べ尽くすまで気が付かないんだよ』なんて言われっぱなしにしないために。