2010年4月28日水曜日

ドーハの奇跡?ドーハの悲劇?

クロマグロの禁輸でゆれたドーハのワシントン条約締結国会議から、約1ヶ月。
日本国内からクロマグロの話題は一掃されてしまいましたね。
十中八九禁輸に傾いていた流れから逆転否決は、まさに奇跡でいたね。
でも、本当に喜んでいていいのでしょうか。

制限量を超えたトルコやキプロスの違法畜養や様々な違法操業に支えれれている日本のマグロ業界は、まだまだ不安で一杯のはずです。
しかし、その不安は目先の利益を失う不安であって、マグロがいなくなってしまう不安ではきっとないんでしょうね。


マグロの業界団体の勉強会に参加して話を聞いてきましたが、実際タイセイヨウクロマグロは絶滅の危機、ミナミマグロも危機的、メバチやキハダにしても今のままの操業状態が続けば近い打ちに絶滅が危惧される状態だと言うことです。とにかく、産卵する成魚の数がどんどん減っているんですから。

もしかしたら、何年か後『2010年にドーハで禁輸が決まっていたらなあ、まだクロマグロが食べられたのに』 なんて話しになるかもしれません。だとしたら、まさに「ドーハの悲劇」となってしまします。

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2010年4月22日木曜日

マグロから水銀

AFPBB Newsより

【記事全文】
【4月21日 AFP】米国の料理店やスーパーマーケットで売られているすしネタのマグロを調査したところ、含有される水銀が摂取量制限を超えている例が多いことが明ら かになった。調査対象のマグロにはクロマグロも含まれている。

調査は、ニューヨーク(New York)州、ニュージャージー(New Jersey)州、コロラド(Colorado)州の料理店54店、スーパーマーケット15店で売られ ていたやトロのすし100個を対象に行われた。マグロの種類をDNA試験で特定したうえで水銀含有量を調べた。

米環境保護局(US Environmental Protection AgencyEPA)によると、摂取しても人体に有害でないとされる水銀の摂取制限量の目安は1 日に、体重1キロに対し、0.1マイクログラムという指標が一般的だ。

体重60キロの女性を想定し、この指標に基づいて計算したところ調査したメバチマグロのトロでは平均0.351マイクログラム、赤身では0.344マイ クログラムと制限量を超える数値が検出された。またクロマグロでもトロで0.123マイクログラム、赤身で0.180マイクログラムと超えていた。入手さ れたすしネタのうち、キハダマグロは赤身しかなかったが、これも0.164マイクログラムだった。

「調査したマグロのすしネタすべてで日本政府や米環境保護局が制限摂取量としている水銀含有量を超えていた。特にすしネタに最も使われることが最も多いメ バチマグロの平均含有量は、1個食べるだけで、世界保健機関(World Health OrganisationWHO)や国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)が妊婦に注意を呼びかけている摂取量を超える」とEPAでは報告している。

【記事↑まで】

驚くようなことではないが、米環境保護局というところがこの時期にこういう調査をすることになにか政治的な臭いは感じますね。「みなさんマグロは体に悪いですよ。食べない方がいいですよ」というメッセージが込められているんでしょうかね。ドーハの会議で大西洋クロマグロの取引禁止が実現されなかったことに対する、ひとつの答えでしょうか。

マグロに水銀や有害物質が含まれていることは、数十年前から言われていることですよね。
アメリカ農産品のポストハーベストが日本で問題視されて、輸入規制にまで発展しそうになったとき、アメリカの農務省関係の学者がやってきて『日本のみなさん、アメリカ農産物のポストハーベストについて問題視されていますが、みなさんの大好物のマグロには農産物のポストハーベストより大量の有害美質が含まれていることはご存じですか。マグロの毒に比べれば、ないにも等しいくらいの残量ですよ』と言ったものだ。

寿司屋に行ってマグロを10貫も食べたら、大変なことになりますよ。

自分の体にも、資源にも差し障りのない範囲で食べましょうね。

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2010年4月10日土曜日

マグロ見物中止

東京築地市場の名物だった「マグロの競り見学」が中止されることになった。

以前から一部外国人観光客のマナー違反が話題にはなっていたが
今年3月頃から観光客の数が収容可能人員の70~80人から数百人に増え
4月5日にはなんと、500人近くまで達したという。

もともと、築地市場のマグロ見学は欧米の観光ガイドでは、東京の名所として六本木や浅草、秋葉原並に紹介されているらしいのだが、ドーハで行われていたワシントン条約会議での大西洋クロマグロの取引禁止騒動で、マグロに対する関心が高まったのだろう。

出来れば、せっかく日本にきたのだから美味しいマグロを食べて、反捕鯨同様の感情的な対応はやめて貰いたいものである。

それにしても、日本人はマグロにしても何にしても食べるばかりで、それがどのように捕獲されどのように流通し、どのように私たちの目の前に辿り着くかに関してあまりにも無関心である。

築地に並ぶマグロの中には、違法操業で捕獲されたマグロも混ざっているのだ。

食文化だ!伝統文化だ!と言う前に、マグロの危機に真剣に 目を向けるべきではないだろうか。
それが、マグロ文化を守る唯一の方法だと思います。

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