2010年12月27日月曜日

正月のマグロ

知人が築地に忘年会用のマグロを買いにいったのだが
天然物の本マグロがないのだという。

仕方なく畜養物を仕入れてきたということで
二切れほど頂いた。

信州出身のわたしには、暮れ正月にマグロを食するという習慣がないが
上野のアメ横や築地でこの時期
ものすごい勢いでマグロが売買されているということは
東京の人たちはさぞかし沢山食べるのだろう。

しかし、もうそろそろ猫も杓子もマグロマグロと騒ぐのは止めたらどうだろうか。
他にも旨い魚はいくらでもあるのだから。

ましてや正月なら、東は鮭、西は鰤というのが相場というものだ。

が、が

なんと、富山では鰤もとれなくなってきているらしい。

その原因はマグロと同じ。
巻き網船が幼魚を一網打尽にしてしまうのだ。
よこわ(マグロの幼魚)やふくらぎ(鰤の幼魚)を取り尽くす現在の漁法をなんとかしないと、日本近海から大型魚はいなくなってしまう。

そんなこと、盗っている漁業会社が一番わかっているはずなんだけどなあ。

================
この、ブログはフィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年12月16日木曜日

太平洋クロマグロの規制すすまず

中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)=「中西部太平洋における高度回遊性魚類(カツオ、マグロ、カジキ類)資源の長期的な保存及び持続的な利用を確保することを目的として設立された地域漁業管理機関」の年次総会が先週ハワイで開催された。

結局、太平洋のマグロ保護はあまり進展しなかった。
よこわなどの未成魚の漁獲量削減なども盛り込まれているが、具体的数字もなく、韓国もはいっていない。

日本が提案した「大型まき網漁船の増隻抑制措置」も進展がなかった。

巻き網船の増隻抑制も必要だろうが、まず
日本の大型巻き網船船による日本海の「よこわ漁」を止めさせよう。


以下水産庁サイトより
=========
(1)太平洋クロマグロの保存管理措置

本年9月の北小委員会(*)で作成された保存管理措置案を基に審議を行い、以下を内容とする保存管理措置を採択した。

 (ア)2011年及び2012年において、沿岸の零細漁業(ひき縄等)を除き、クロマグロを漁獲する努力量は2002-2004年水準よりも低く保たなければならない。また、この措置は、韓国を除き、未成魚(0-3才)の漁獲量を2002~2004年水準よりも減らす措置を含まなければならない。

(イ)韓国は、この保存管理措置に従って、自国漁業を管理することにより、未成魚の漁獲量を規制するために必要な措置を講じなければならない。加盟国及び協力的非加盟国は、これに協力する。

 (ウ)これらの措置は2012年に再検討される。


 *北小委員会は、北緯20度以北の海域におけるクロマグロ、ビンナガ、メカジキについて、保存管理措置案を作成し、年次会合に勧告を行うWCPFCの下部組織です。

(2)メバチ・キハダの保存管理措置

  現在の保存管理措置(メバチ漁獲を2009~2011年の3年間で30%削減)の実施状況、追加的措置について議論。日本より、大型まき網漁船の増隻抑制措置を提案したが、議論は収束せず、来年保存管理措置の見直しに合わせて再度議論されることとなった。

========
このブログは、フィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年12月14日火曜日

4ヶ月ぶりのマグロ

マグロの刺身は一月に6切れまで、という
「マグロ6P運動」を提案しております。

もちろん自分で実践するつもりです。が
前に食べたのは田舎に帰ったお盆の時。
ずいぶん長いこと食べなかったものです。
べつに困りませんでしたが

今日は新橋で寿司を食べました。
マグロは赤身が一切れです。

本マグロではなさそうですね。

でもこれで十分です。
寿司ネタにはマグロ以外にも美味しいものがたくさんあります。
たとえばこの寿司に入っていた「茄子漬け」。
目から鱗の美味しさです。

何でもかんでもマグロではなく
他の魚やネタも食べましょうね。


$マグロ保存会

このブログは、フィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年11月5日金曜日

忘れ去られるクロマグロ危機

すこし忙しい日々を送っていたら、わたしのブログも滞りがちになってしまった。

たとえば「マグロ6P運動」は未だにちゃんと続けているし、COP10ではフィッシュサステナビリティに関する講演を聴きに名古屋まで行ったりもした。

しかし、世間の空気からマグロの話題、とくに資源枯渇もんだいのあるクロマグロの話題がすっかり消えてしまったように思う。

グーグルトレンドで調べてみると、その傾向は顕著である。
今年3月、ワシントン条約で取引禁止になるかならないか、と騒がれていた頃をピークに、最近ではすっかり下火になってしまった。



最近のテレビ番組は、マグロの資源枯渇などどこ吹く風。
消費を煽るようなものばかりである。

のど元すぎれば暑さを忘れる。
そんなことではだめだ。


*このブログはフィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年9月21日火曜日

『日本の食卓から魚が消える日』小松正之著

根が深すぎる。

この本を読んだかんそうだ。

フィッシュサステナビリティを推し進めながら
マグロをはじめとした美味しい魚を食べ続けたい。
そんな希望をうち砕くのが『日本の食卓から魚が消える日』だ。

漁業資源の持続可能性がこんな理由は概ね下記の要因だという。

1.気象変動
地球温暖化をはじめ海流の変化などによって資源状況が激変している。

2.乱獲している
80%以上の漁業資源が乱獲されている。

3.漁業関係者が資源保護を考えていない。
伝統的な漁法なら急激な資源喪失はないが、巻き網などで一網打尽の上、混獲などで資源の無駄使いをしている。マグロでは畜養が問題。

4.資源保護のルールが甘い。甘いルールすら守らない。ルール違反の漁獲物も平気で流通している。

5.国の行政が消波ブロックや港湾工事にばかり金を使って、漁業や資源の保護に金を使わない。

6.資源保護、食料安全性、トレーサビリティーなどに消費者の関心が向かない。

この本を読むと日本のマグロや魚は絶望だ。
美味しくも安全でもない魚をありがたがって食べるような時代がきてしまいそうな気がする。

何も考えずにマグロばかり食べていないで
金のためだけにマグロを売っていないで
魚に関係ない漁業予算ばかり使っていないで
真剣に、
安全で持続な能な漁業資源を守っていかなければならない。
$マグロ保存会




























このブログは、フィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年9月15日水曜日

クロマグロ規制韓国拒否!だけど

今月7日~10日に福岡で「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第6回 北小委員会」が開催され、北小委員会が対象とするまぐろ類の資源管理等について検討が行われました。
「中 西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」は、中西部太平洋における高度回遊性魚類(マグロ、カツオ、カジキ類)資源の長期的な保存及び持続可能な利用を 確保することを目的とした委員会です。北小委員会は、主に北緯20度以北の水域に分布する資源(クロマグロ、ビンナガ、メカジキ)の保存管理措置について 本委員会に勧告を行うWCPFCの下部組織で、参加国は、日本、韓国、米国、カナダ、クック諸島、フィリピン、バヌアツ、台湾(中国は欠席)です。

水産庁のプレスリリースによれば、下記の内容が決定されましたが、クロマグロの漁獲規制について韓国が留保したため、次回の会合まで持ち越しとなりました。

【水産庁プレスリリースより抜粋】
(1)北資源に関する保存管理措置
クロマグロ
漁 獲圧(特に未成魚)を2002年~2004年の水準よりも引き下げるべきとの科学委員会(ISC*)による資源評価結果に従い、以下を内容とする保存管理 措置の勧告案が取りまとめられたが、韓国は、今回の北小委員会での受け入れを留保したため、北小委員会としての合意は、12月に開催される「第7 回 WCPFC年次会合」まで持ち越されることとなった。
(ア)2011年及び2012年において、沿岸の零細漁業(ひき縄等)を除き、クロマグロを漁獲する努力量は 2002-2004年水準よりも低く保たなければならない。またこの措置を取るに当たり、未成魚(0-3才)の漁獲量を2002~2004年水準よりも減 少させなければならない。

(イ)これらの措置は2012年に再検討される。

ビンナガ
来年の科学委員会(ISC)における資源評価の結果に従って、来年、現行の保存管理措置(現状の漁獲努力量を増加させない)の検討を行うこととなった。

メカジキ
資源状態が健全であるとの結果を受けて、保存管理措置の導入についての議論は行われなかった。

(2) その他の資源に関する保存管理措置
カツオ
北上群のカツオ来遊量の減少について、北小委員会として、本委員会に対し懸念を表明するとともに、保存管理措置の考慮にこれを反映するよう求めることとなった。


【グリーンピース・ジャパンのWebより引用】
グ リーンピース・ジャパン海洋生態系問題担当の花岡和佳男は、「韓国が漁獲する太平洋クロマグロの9割は日本で消費されているが、資源状態の悪化が指摘され る魚種の漁業管理を拒否する国で生産されるクロマグロを購入・販売することは、生物多様性の保護にも、海の恵みを次の世代に残すことにも逆行する」とし、 もし韓国政府が12月までに今回の漁業規制案への留保を解除しない場合、日本の大手スーパーや飲食店チェーンに対し、韓国で生産されるクロマグロを取り扱 わないよう求めていく活動方針を明らかにした。
【引用ここまで】

結局制限拒否する韓国を非難するより、日本がクロマグロの消費をまず減少させなければならないのですね。
それに、やはりカツオ資源も心配な状況になってきますね。

このブログは、フィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年8月30日月曜日

どこのマグロ?

いま食べようとしているマグロは
どこでどう捕獲され、どう流通してここにいるんだろう。

そんなことを考えて食べないといけないようだ。
同じクロマグロ(本マグロの表記も)でも、規則を守って捕獲されたものもあれば、違法操業によって捕獲や畜養されたマグロもいるのだ。

クロマグロなどは世界で捕獲量が決まっているのに、日本の輸入量が平気でそれを越えたりしているのだ。
違法、違反とわかっているのに輸入している業者もいるのだ。
まあ、国もこれまでは黙認していた。
今年からは、多少厳しくチェックするようだ。
私たちも食べるのなら、できる限りトレーサビリティーを気にしよう。
消費者が求めなければ、流通業者はやりたがらないだろう。

いまむやみに食べてはいけないマグロとは・・・

北大西洋や地中海で漁獲制限を越えて獲られた大西洋クロマグロ。
漁獲量を偽って捕獲し、畜養した大西洋クロマグロ。
日本近海の巻き網漁によって捕獲されたマグロの幼魚、ヨコワ。
畜養されたミナミマグロ。
イルカや多の魚種の混獲に配慮せず捕獲された、メバチやキハダやカツオ。

なんか、ほとんど食べちゃ駄目なのかなあ。

トレーサビリティーが完璧なのは近代マグロだろうけれど、そのへんのスーパーじゃまだ手に入らないんだよね。

この記事は、フィッシュサステナビリティーについて書いています。

$マグロ保存会

2010年8月23日月曜日

メバチも危ない

東南アジア地域での「巻き網漁」による、キハダ、メバチ、カツオなどの乱獲で資源がピンチだと以前報告しましたが、メバチがかなり危険な状態であることがWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)の科学委員会で明らかになりました。

以下、グリーンピースのプレスリリースです。

================
メバチマグロ、中西部太平洋で激減
――中西部太平洋マグロ類委員会の科学委員会が資源評価を発表

【記事抜粋】

南 太平洋のトンガにおいて19日に閉幕したWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)の科学委員会で、中西部大西洋のメバチマグロが激減していることが報告 された。これを受けてグリーンピースは、国内の大手スーパーや飲食店チェーンに対し、持続可能な魚介類の調達方針を作成するよう取り組みを求めた。

資 源評価の報告によると、中西部太平洋におけるメバチマグロの現在の親魚資源量は、初期資源の17%にまで減少(注1)。今年3月にワシントン条約で禁輸措 置が議論された大西洋クロマグロは親魚資源量が初期資源の15%とされており、比較するとメバチマグロの資源状態の深刻度がうかがえる。さらにマグロ・カ ツオ類の中でもっとも資源状態が良いとされ、鰹節の原料のカツオにおいても、今回はじめて資源量の減少が報告された(注2)。これらの魚種は海洋で主に FAD (人工集魚装置)によって集められ、巻き網で一網打尽に漁獲されて、WCPFCによる管理の甘さが過剰漁業を許している。

記事の全文はこちら

================
資源管理団体と漁業者の目先の利益追求が、科学的なデータを無視した過剰漁獲に走らせているのでしょうか。
「消費者のニーズ」が乱獲の理由にならないように、私たちも食べているマグロのトレーサビリティーをしっかり確認する必要があると思います。
しかし、スーパーの表示だけではわからないんですよね。
このあたりの改善が必要になってくるでしょうね。

この記事は、フィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年8月19日木曜日

マグロ2歳以下で90%捕獲

太平洋クロマグロは、親魚(3歳以上)になる前に
90%が捕獲されてしまう。
これでは資源量を維持できるわけがありません。

特に0歳のヨコワは、消費される尾数の70%以上に達しています。
以前「マグロの子を食べるな」でも紹介しましたが
3年待てば市場価値は数十倍になるのに、捕獲しやすいということで
幼魚の巻き網漁が行われているのです。

宮原審議官の話によれば、多数の巻き網漁船が操業しているのでなく
ほんの数隻の大型船が一網打尽にしているのだという。
伝統的な小型漁船の曳き縄や一本釣り漁法なら、問題になっているほど大量な捕獲はされない。

だとしたら、数隻の巻き網船を規制できないのだろうか。
できないのだという。
いろいろ、あるから。
そもそも、小さな漁協の1年分を1回の操業で捕獲してしまうような巨大巻き網船の製造や操業が、法律で管理できないのだそうだ。
なんて国なんだろう。

結局、一部企業の利益のために、国民の資源が浪費されてしまうのだ。

巨大巻き網漁船を操業している会社の方へ
ひとまずヨコワの巻き網漁は止めて頂けませんか。

=========
このブログは、フィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年7月27日火曜日

マグロをめぐる国際シンポジウム

ドーハの会議が終わって、マグロ禁漁の話題がすこし下火になっていますが、漁業資源としてのマグロが危機的な状況にあるのは変わっていません。一方、海の 食物連鎖の頂点に立つマグロのことですから、漁業資源としてではなく海の生態系としてこの問題をとらえる必要があるようです。

WWFが主催する「消費者と考える国際マグロシンポジウム 日本の食卓が地球環境を変える」というイベントが8月3日に行われます。私も参加登録をしました。
内容は下記です。
(WWFホームページより)
============
WWF の国際的なネットワークを通じた海外のマグロ漁獲国や、日本の主要なマグロ生産者からの現地報告、日本の漁業問題の窓口でもある水産庁の関係者にも 講演いただき、消費者としてどう取り組むことが必要かを一緒に考えます。消費者である私たちひとりひとりの行動が地球環境の問題を解決する力となります。
■講演
「食卓から見たマグロ~マグロの基礎知識」
緑川聡 (社団法人 漁業情報サービスセンター流通課主査)
「国内外のマグロ資源管理の現状と課題」
宮原正典 (水産庁資源管理部審議官)
■報告
「WWFの考えるマグロと環境問題」
山内愛子 (WWFジャパン 水産担当)
「地中海におけるクロマグロ漁業の歴史とその危機」
スサナ・サインズ・トラパガ(WWF地中海オフィス担当)
「壱岐のマグロ一本釣り漁の現場から」
松尾五郎、大久保晃 (長崎県壱岐一本釣り漁師)
「大間のマグロ一本釣り漁の現場から」
濱端廣文 (青森県大間漁業代表理事組合長)
「中西部太平洋:持続可能なマグロ漁業推進プロジェクト」
ホセ・イングルス(Jose Ingles :WWFコーラルトライアングル担当)
■パネルディスカッション
「日本の消費者にしてほしいこと。これからの持続可能なマグロ消費の展望」
話題提供:マーク・パウエル (WWFインターナショナル)
ファシリテーター:東梅貞義 (WWFジャパン)
===========
どれも、興味深い内容ですね。

興味のある方は、是非参加してください。

MSC認証のカツオが食べられるようです。
参加費は1,000円。
申し込みは30日までです。
詳しくはWWFのWebサイトで。

2010年7月15日木曜日

マグロの子を食べるな!

日本人は魚の卵が大好きだ。

数の子、イクラ、すじこ、たらこ、ひめこ・・・・
様々な魚の卵を食べまくる。

卵を食べちゃったら魚は減るよね。
減るはずだよね。
ということで、数の子の親のニシンは、日本沿岸ではほとんど絶滅した。
いまではカナダ産やアラスカ産などを輸入している。

イクラだって激減している。
日常何気なく回転寿司なんかで食べているイクラのほとんどは人工イクラだ。
油と海草エキスを主成分にして作るらしい。

タラコだって日本沿岸では激減し、ほとんどが輸入頼りだ。

ところで、マグロ子って食べたことないよね。
珍味にもないか。と思ったら「珍味マグロのたまご」って言うのがありました。
食べるんだ。マグロの卵。


で、今日の話は卵ではなく、クロマグロの子供。ヨコワという幼魚です。

三重大学の勝川俊雄先生によると、近年日本海では巻き網漁によってヨコワを大量に捕獲しているとのこと。
親魚になって産卵する前に巻き網でそれこそ一網打尽にしてしまうため、大型をねらう一本釣りではどんどん大型が釣れなくなってきているという。

先生の試算によれば、ヨコワ漁161万尾は4,856トンでおよそ27億円の水揚げとんっている。
これが、4年待ってマグロになってから56万尾捕獲すれば、29,547万トンで408億円。

さらに2年待って一本釣りの対象になるまで大型にすれば、47万尾で43,959万トンで2235億円。
6年間休漁するだけで2000億円以上になる資源を、100分の1の価値でとりつくそうとしているらしい。
コヨワ漁6年分の漁業補償はおよそ180億円。
年間の水産関連予算3,500億円に比べたら微々たるもの。
補償して禁漁にしてしまえばいいのだ。
ところが、予算の大半は港湾整備などの土木工事に消えてしまい、水産資源の将来投資には回らないのだという。

役人のビジョンのなさと漁業関係者の目先重視が、日本近海からクロマグロの親魚を絶滅させているのだ。

勝川先生の声に耳を傾けよう。



このブログはフィッシュサステナビリティについて書いています。

勝川先生のブログはこちら。

2010年7月6日火曜日

「沈黙の海」イサベラ・ロヴィーンさん

10月に名古屋で開催されるCOP10の100日前に当たる7月3日、ヨーロッパにおける水産資源の枯渇を告発したジャーナリスト、イサベラ・ロヴィーンさんが講演会をおこなうというので、出かけてみた。
スウェーデン近海のバルト海などにおける、鱈の激減の原因を科学的に立証してみせた。最大の要因は幼魚を食べてしまうこと。産卵できる親魚になる前に食べてしまうのだ。それでは減る一方なのはあたりまえだ。

人間は食物連鎖の上から下に向かって補食するらしい。
つまり、大きな魚から順に食べ尽くしていく。バルト海では鱈が食物連鎖の最上位にあり、いまそれを食べ尽くそうとしている。日本人が巨大なクロマグロや南マグロから食べ尽くすのと同様に。実際、畜養が盛んになるまでは、クロマグロの代わりにそれまで食べなかった「メバチ」や「キハダ」を刺身で食べていた。いずれ海の中は、中型魚~小型魚と食べ尽くし、海の資源で食べられるのは「クラゲ」と「プランクトン」になってしまうのだそうだ。

こんなことになった原因は5つ。
1.海で起こることは一般の人の目に付きにくい。
2.漁業が環境問題の視点からでなく、食糧問題、経済問題からしか論議されない。
3.共有地の悲劇=海の魚はみんなのものという意識から、規制が役に立たない。
4.経済活動の側面からしか考えないロビー活動団体。
5.漁業がうまくいかなくても助成金がある。

私たちの支払っている税金が、魚を減らすための助成金となり、目先の利益しか考えない団体の保身のために使われている。のだろうか。

いずれにしても私たちはただ、マグロが食べたい。やすく食べたい。たくさん食べたい。と、言っている場合ではないらしい。

フィッシュサステナビリティーを真剣に考えないといけない。

そうそう、最後にもう一つ、日本人がこんなに日常的にマグロを食べるようになったのは、ここ10年くらいのことで、かつては特別な日だけに食べていたものだと彼女もいっていた。
マグロを食べるのが日本の伝統的な食文化などというのは、ちゃんちゃらおかしいのだ。


イサベラ・ラヴィーンさんの「沈黙の海

2010年6月24日木曜日

シーシェパード鯨の次はついにマグロ!

捕鯨活動の暴力的妨害で有名なシーシェパードが、遂にマグロにも狙いを定めてきたようだ。
==========
先週18日、シーシェパード(Sea Shepherd Conservation Society=SS)は、地中海で800匹のクロマグロを解放したと発表した。
AFPによればSSは、リビア沖約68キロの地点で17日午後、イタリア船籍とリビア船籍の2隻の漁船がけん引するいけす網を5人のダイバーが切り開き、クロマグロを逃がしたとい う。SSは、いけす網の中のクロマグロは欧州連合の漁期が終了した14日以降に捕獲されたもので、重量も規定を満たしておらず、密漁だと主張している。
リビア船籍漁船の船長は、マグロを捕獲したのは猟期終了の3日前だと反論している。
==========
クロマグロの漁期は5月15日から6月15日までと定められているが、この期間中でも、漁獲量は国際的に厳しく規制されているという。
地中海の畜養では、トルコやマルタが規制量を無視した捕獲や畜養を行っているらしいが、SSの狙いもこのあたりだろう。
クロマグロは、畜養すればするだけ高値で売れた時期があったが、最近では高級マグロの値崩れで量を売らないと 利益がでないらしい。
食べる量が減っても乱獲される地中海のクロマグロ。
確かに厳しい規制やそ遵守が必要ではあるのだろうが、SSが絡んでくると物事はややこしくなってくる。
つまり、マグロを食料と見なさい可能性があるので面倒なのだろう。

マグロ食を文化だと言い張っている日本。
違法操業がらみのマグロを輸入し続ける姿勢を改めるときがきていると思うのだが。

今月に入って地中海では
マルタ海軍がグリーンピースを排除
グリーンピースはフランスの漁船に激突
などもあり、グリーンピースとSSで抗議競争に入りそうだ。

2010年6月16日水曜日

マグロ6P運動

マグロを食べるのを、一人一月6切れ以内にしようという運動。

とにかく日本人はマグロを食べ過ぎる。らしい。
私はそれほどマグロを過食する方ではないと思っているが、先日飲み屋で何気なく唐揚げを食べたら、中身は鶏ではなくマグロだった。

マグロといえば寿司や刺身をすぐに思い浮かべるが、生以外でも焼いたり、煮たり、揚げたり様々な調理法で食されている。

とにかく今、日本人は食べるマグロを減らさなければならない。
「食べる量を減らすぞ」と、世界に発信しなければならない。
そうしないと、世界中のマグロ漁師や畜養業者が「獲れば獲っただけ商売になる」と思いこんでしまう。

日本人は、手当たり次第マグロを食べる訳じゃないんだぞ。

そのことを世界に発信するのが『マグロ6P運動』なのです。



*左のマグロは我が家の三人分です。

このブログは、フィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年6月1日火曜日

メキシコ湾のクロマグロ絶滅?

5月31日付の朝日新聞によれば
ただでさえ数が減って禁漁になっているメキシコ湾のクロ名グロが、本当に絶滅しそうだという。

日本ではあまり大きく報道されていないが、4月の下旬にアメリカメキシコ湾のBP社の海底油井で大爆発があり、オイル漏れが続いている。この記事ではこのオイル漏れの影響でちょうどこの時期にこの海域で産卵期を向かえるクロマグロに大きな影響がありそうだということだ。


以下記事の一部
============
米カリフォルニア大デービス校との共同研究で、28日発行の米科学誌プロスワンに論文が発表された。
大西洋クロマグロは、地中海で産卵する群とメキシコ湾で産卵する群に分けられる。後者は毎年3~6月にメキシコ湾に回遊してくる。研究チームは、キハダ マグロなどの漁での混獲記録や、クロマグロを捕獲して回遊追跡装置を付けた時の記録を分析した。
その結果、クロマグロはやや水温の低い湾内の二つの海域に集中して回遊していた。特に北東側の海域は原油が広がっている海域と重なっており、回遊のピー クは流出が始まった4~5月だった。
クロマグロは海面付近で産卵する。漂っている油膜で卵や稚魚が死滅する恐れがあり、卵は油を含むため原油の油滴を小さくして分解を促す薬剤の影響も心配 される。
流出海域の近くにはメキシコ湾内で蛇行後、北米東岸を北へ向かう暖流「ループ・カレント」が流れる。この海流はクロマグロの回遊ルートとも一致してお り、原油が海流に乗って広がれば、長期的には成魚にも影響が出るとみられている。
流出の前に行われた研究だが、研究チームのバーバラ・ブロック・スタンフォード大教授は「残念ながら、原油流出は場所も時期もクロマグロの産卵と重なっ た。2010年産減少の影響は深刻になるだろう」としている。

===============
東大西洋のクロマグロが絶滅すようなことになったら、大西洋全体の個体数の激減が加速することになりそうだ。
地中海のクロマグロを手厚く保護することは、大西洋クロマグロの未来にとって、重要なことになるかもしれない。

このブログは、フィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年5月24日月曜日

MSC海のエコラベルを食べました

前回MSC海のエコラベルの話をしましたが、やはり実物を食べてみないとということで、どこで買えるのか調べました。
いまのところまだ、イオングループのジャスコくらいでしか売っていなそうな。

ということで、わざわざ車で1時間かけて買いに行ってきました。
アラスカ産の鮭2切れ。

ちょっと塩辛いけれど、まあまあ美味しかったですよ。
そもそもMSC海のエコラベルは、美味しい印ではなく
「持続可能な漁業で獲られた水産物」の証ですからね。

フィッシュサステナビリティを目指すなら、多少の負担は必要なんでしょうね。



2010年5月17日月曜日

海のエコラベル「MSCエコマーク」

Marine Stewardship Council(海洋管理協議会)MSCが発行する「MSCエコマーク」というのをご存じですか。私はつい最近まで知りませんでした。
MSCは、1997年、世界自然保護基金(WWF)と 大手食品関連会社によって設立された団体で、1999年にNPOとして独立。本部は英国にあり、日本をはじめ世界各地に現地事務所を置き、認証基準の策定・管理と認証制 度の普及のための活動を行っています。
「MSCエコマーク」は、WWFのサイトでは
『魚、貝、エビといった海の生き物は世界中の多くの人々が生きていく上で必要不可欠なものです。これらの海の生き物は、自然に繁殖し、成長するスピー ドを考えて適切な量を獲れば、いつまでも食べ続けることができます。
しかし、この「適切な量」を超えて獲り続ければ、海の生き物は減ってゆき、しまいには将来食べるのが難しくなってしまいます。また、魚を獲る際 に、ウミガメ、海鳥、小さな魚など他の生物が巻き添えになるようなことを避けなければ、豊かな海の生態系が壊れていってしまいます。
このようなことを避けるために、獲ってよい漁獲量や時期、魚の大きさなどを定めたり、他の生物がかかりにくい漁具を使うなど、厳しい取り組みを している漁業者もいます。
MSCのラベルはこういった水産資源や海洋環境を守って獲った水産物に与えられる証です。消費者がこのラベルの付いた水産物を選ぶことによっ て、厳しい取り組みをしている漁業者を支えることにつながります。
こうして水産資源や海洋環境を守る漁業者が漁を続けることができれば、私たち消費者も、いつまでも水産物を食べることができるのです』

と説明されています。

つまり、未来につながる持続可能性に配慮した漁業で捕獲された水産物の証ということですね。
私はまだ目にしたことがないのですが、日本でも最近ようやく出回り始めたようです。

イオンでは甘塩味紅鮭、明太子、塩まだら、キングサーモン切身・ ギンダラ切身など10商品を販売しているとのこと、価格はきっと高めなんでしょうがフィッシュサステナビリティ=未来に配慮した業業による水産物が多くなることを期待したいものです。
↓MSCエコマーク


もちろんマグロも対象になることだろうと思います。
というか、マグロこそMSCマークを取得する必要があるのかもしれません。
一方的に保護ばかりを訴える自然保護団体と目先のビジネスばかり追いかける漁業関係者の橋渡しになって欲しいと思います。

MSCのあり方について分かり易い動画がありますので、是非視聴してみてください。

2010年5月10日月曜日

カツオが獲れない。メバチ・キハダもピンチ。

春盛り、いよいよ初鰹のシーズンだ。
しかし、日本近海のカツオの漁が激減しているらしい。

昨年NHKのテレビ番組でカツオ漁師が『近海では本当に釣れない。水産庁は漁獲高は減っていないと言うが、同じ漁獲を確保するのがものすごく大変だ』と語っていた。
カツオは日本近海まで来ていないのだ。

5月1日の朝日新聞の記事に寄れば、その原因ではないかと推測されるのが
遙か南方の海洋で中国船などが行っているおおがかりな巻き網漁だ。

日本では一本釣りしたカツオを刺身やたたきにして食べるが、これらの漁船の目的は
西欧向けの缶詰やペットフードの原料である。
だから、大きさはどうでもよい。大きいのも小さいのも一網打尽にする。

カツオの漁はマグロと関係ないかというとそうではない。
カツオと一緒にメバチやキハダも混獲されうのだ。
そもそもフィリピン付近ではキハダの巻き網漁も行われていて
こちらも幼魚から成魚まで一網打尽の漁がなんの管理もされずに行われているのだ。

イカダを流して魚群を集めて一網打尽にする巻き網漁は、イルカの混獲も問題になっている悪魔の漁法である。

規制しないと大変なことになりそうである。


【朝日新聞5月1日】
日本近海、カツオが獲れない 中国系巻き網漁船の影響か


<このブログはフィッシュサステナビリティについて考えています>

2010年4月28日水曜日

ドーハの奇跡?ドーハの悲劇?

クロマグロの禁輸でゆれたドーハのワシントン条約締結国会議から、約1ヶ月。
日本国内からクロマグロの話題は一掃されてしまいましたね。
十中八九禁輸に傾いていた流れから逆転否決は、まさに奇跡でいたね。
でも、本当に喜んでいていいのでしょうか。

制限量を超えたトルコやキプロスの違法畜養や様々な違法操業に支えれれている日本のマグロ業界は、まだまだ不安で一杯のはずです。
しかし、その不安は目先の利益を失う不安であって、マグロがいなくなってしまう不安ではきっとないんでしょうね。


マグロの業界団体の勉強会に参加して話を聞いてきましたが、実際タイセイヨウクロマグロは絶滅の危機、ミナミマグロも危機的、メバチやキハダにしても今のままの操業状態が続けば近い打ちに絶滅が危惧される状態だと言うことです。とにかく、産卵する成魚の数がどんどん減っているんですから。

もしかしたら、何年か後『2010年にドーハで禁輸が決まっていたらなあ、まだクロマグロが食べられたのに』 なんて話しになるかもしれません。だとしたら、まさに「ドーハの悲劇」となってしまします。

このブログはフィッシュサステナビリティについて書いています。

2010年4月22日木曜日

マグロから水銀

AFPBB Newsより

【記事全文】
【4月21日 AFP】米国の料理店やスーパーマーケットで売られているすしネタのマグロを調査したところ、含有される水銀が摂取量制限を超えている例が多いことが明ら かになった。調査対象のマグロにはクロマグロも含まれている。

調査は、ニューヨーク(New York)州、ニュージャージー(New Jersey)州、コロラド(Colorado)州の料理店54店、スーパーマーケット15店で売られ ていたやトロのすし100個を対象に行われた。マグロの種類をDNA試験で特定したうえで水銀含有量を調べた。

米環境保護局(US Environmental Protection AgencyEPA)によると、摂取しても人体に有害でないとされる水銀の摂取制限量の目安は1 日に、体重1キロに対し、0.1マイクログラムという指標が一般的だ。

体重60キロの女性を想定し、この指標に基づいて計算したところ調査したメバチマグロのトロでは平均0.351マイクログラム、赤身では0.344マイ クログラムと制限量を超える数値が検出された。またクロマグロでもトロで0.123マイクログラム、赤身で0.180マイクログラムと超えていた。入手さ れたすしネタのうち、キハダマグロは赤身しかなかったが、これも0.164マイクログラムだった。

「調査したマグロのすしネタすべてで日本政府や米環境保護局が制限摂取量としている水銀含有量を超えていた。特にすしネタに最も使われることが最も多いメ バチマグロの平均含有量は、1個食べるだけで、世界保健機関(World Health OrganisationWHO)や国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)が妊婦に注意を呼びかけている摂取量を超える」とEPAでは報告している。

【記事↑まで】

驚くようなことではないが、米環境保護局というところがこの時期にこういう調査をすることになにか政治的な臭いは感じますね。「みなさんマグロは体に悪いですよ。食べない方がいいですよ」というメッセージが込められているんでしょうかね。ドーハの会議で大西洋クロマグロの取引禁止が実現されなかったことに対する、ひとつの答えでしょうか。

マグロに水銀や有害物質が含まれていることは、数十年前から言われていることですよね。
アメリカ農産品のポストハーベストが日本で問題視されて、輸入規制にまで発展しそうになったとき、アメリカの農務省関係の学者がやってきて『日本のみなさん、アメリカ農産物のポストハーベストについて問題視されていますが、みなさんの大好物のマグロには農産物のポストハーベストより大量の有害美質が含まれていることはご存じですか。マグロの毒に比べれば、ないにも等しいくらいの残量ですよ』と言ったものだ。

寿司屋に行ってマグロを10貫も食べたら、大変なことになりますよ。

自分の体にも、資源にも差し障りのない範囲で食べましょうね。

<このブログは:フィッシュサステナビリティについて書いています>

2010年4月10日土曜日

マグロ見物中止

東京築地市場の名物だった「マグロの競り見学」が中止されることになった。

以前から一部外国人観光客のマナー違反が話題にはなっていたが
今年3月頃から観光客の数が収容可能人員の70~80人から数百人に増え
4月5日にはなんと、500人近くまで達したという。

もともと、築地市場のマグロ見学は欧米の観光ガイドでは、東京の名所として六本木や浅草、秋葉原並に紹介されているらしいのだが、ドーハで行われていたワシントン条約会議での大西洋クロマグロの取引禁止騒動で、マグロに対する関心が高まったのだろう。

出来れば、せっかく日本にきたのだから美味しいマグロを食べて、反捕鯨同様の感情的な対応はやめて貰いたいものである。

それにしても、日本人はマグロにしても何にしても食べるばかりで、それがどのように捕獲されどのように流通し、どのように私たちの目の前に辿り着くかに関してあまりにも無関心である。

築地に並ぶマグロの中には、違法操業で捕獲されたマグロも混ざっているのだ。

食文化だ!伝統文化だ!と言う前に、マグロの危機に真剣に 目を向けるべきではないだろうか。
それが、マグロ文化を守る唯一の方法だと思います。

<このブログはフィッシュサステナビリティーについて考えています>

2010年3月29日月曜日

ドルフィンセーフ

ワシントン条約会議での、大西洋クロマグロの商取引禁止が否決され、日本国内には「よかったよかった」感が漂っているが、違法操業が取り締まれない今のままでは本当にクロマグロが絶滅の危機を迎えることになるかもしれません。

ところで、 太地町でのイ ルカ漁を隠し撮りした『ザ・コーヴ』が、アカデミー賞を受賞した影響かどうか分からないが、「ドルフィンセーフ」という言葉が最近注目されているらしい。

これは、アメリカなどのツナ缶に付けられているドルフィンセーフ・マークの事で、缶詰の材料になるマグロ漁をするときに、マグロと一緒にイルカを捕獲する事のない漁法が行われていることの証です。

日本のツナ缶やキャットフードの中心的材料となる キハダマグロの漁法である「まき網漁法」はマグロの群を網で囲んで一網打尽に する漁法ですが、 この時マグロを集まりやすくするために漂流物に似せたイカダの様なものを流し ます。
こうした漂流物もマグロの群れもイルカが好むものなので、まき網漁ではイルカ が一緒に捕獲されてしまことがあるようです。
このような漁法で捕獲されていなマグロが「ドルフィンセーフ」です。
一本釣りやはえなわ漁は餌づりですから「ドルフィンセーフ」の対象だと思います。

つまり手間暇の掛かる方法で捕獲しないと行けないと言うことで、当然缶詰の値段も高くなる。

マグロの問題は、クロマグロだけでなくまだまだ様々な視点があるんですね。

かなり前から活動は進められていたみたいです。

http://homepage1.nifty.com/IKAN/hogo/sonota/040216.html


===========
このブログはフィッシュサステナビリティーについて考えています。

2010年3月12日金曜日

クロマグロの次はメバチ?キハダ?

水産庁のプレスリリースによると
インド洋まぐろ類委員会(IOTC) の第14回 年次会合が開かれて、メバチとキハダに禁漁期間を設けることになったみたいです。これは、産卵海域・稚魚保護などを目的にテスト的におこなうもので、こうしたことが必要になってきたということは、メバチ・キハダも安閑としていられないということでしょう。

もっとも、ミナミマグロなどはとっくにワシントン条約のリスト入りしてもおかしくない状況のようです。

以下、水産庁のプレスリリースの一部。
===============

(1)総許容漁獲量(TAC)及び国別漁獲割当の設定
今次会合においては、メバチ、キハダのTAC及び国別割当の設定はなされず、2012年の年次会合でのTAC及び国別割当の採択を目指して、今後、 途上国の漁獲量把握方法の改善や国別割当基準の作成を行っていくこととなった。
(2)資源回復のための操業規制区域・期間
メバチ、キハダの産卵海域・稚魚保護などを目的として、インド洋北西海域の一部に、1ヶ月間(まき網:11月1日~12月1日、はえ縄:2月1 日~3月1日)の禁漁期間を設けることが決定され、2011年の科学委員会で、その効果を評価し、修正の必要性を委員会に勧告することとなった。
[現在、同区域での我が国の漁船の操業実績はない。]
(3)資源管理措置等の遵守の改善
加盟国の資源管理措置等(漁獲データ提出義務、漁船登録義務等)の実施状況を確認するため、年次会合の前に遵守委員会を開催し、実施していない国へ の対応を検討していくこととなった。

=====================
このブログは、フィッシュサステナビリティー(Fish sustainability) について考えています。

2010年3月9日火曜日

日本人はどれくらいマグロを食べているのか

いよいよ大西洋と地中海のクロマグロが、ワシントン条約で取引禁止になりそうな趨勢です。

ICCAT=大西洋まぐろ類保存国際委員会の規制だけでは不十分だ、ということで今回の取引停止案が提出されている。こんなことになる前に何かできなかったのかと、つくづく思います。日本の主張としては、大西洋のマグロは注意深く漁獲量規制を守っていれば、漁業を継続できるだけ十分生息している。しかし、違法に操業したり、捕獲量を誤魔化す者がいるのが問題。というものでした。
あえていれば、ただそう主張してきただけかもしれない。
クロマグロに関しては、漁獲規制による捕獲量を超える量を輸入して、食べちゃっているらしいのだから。
欧米の国々が、違法操業が取り締まれないのなら、取引停止にするしかない、と言うのはある意味妥当性のある結論かも知れない。

ところで日本人は、どれくらいマグロを食べているのでしょうか。

FAO=国連食糧農業機関のデータによると
世界のマグロ消費量は
1975年約90万トン
2000年約190万トン
2004年約230万トン
と増え続けてきたが、
2008年は206万トンと
ここ数年は、規制などもあって減少傾向にある。
2008年データでは日本人が食べているのは54万トンで約四分の一。
数年前には60万トンを超え、比率も三分の一近かったので割合、量とも減少している。
欧米や中国での消費拡大も影響しているかも知れない。

魚種別で世界全体に占める日本の割合をここ数年の平均値でみると
ミナミマグロ=約10割
クロマグロ=約8割
メバチ=約6割
ビンナガ=約2.5割
キハダ=約2割
 となり、高級とされるクロマグロとミナミマグロのほとんどが日本で消費されており、この2種の保護について、日本の責任の重さが実感される。

クロマグロの価格は、規制を誤魔化しやすい畜養や違法操業による漁獲量の水増しのおかげで値下がりして、回転寿司屋でも使えるということだ。

値段が安いから、畜養業者は益々出荷量を増やさなければ採算がとれないという悪循環もあるらしい。日本のマグロ漁は正に清廉潔癖、一筋も違法な部分はないらしいが、正しい漁業さえしていればそれでよいということではなかった。違法なマグロを食べることは、やはり違法なのだという認識の欠如。
その規制に本気で取り組まなかったのが、現状を招いているのかも知れません。

消費量の半分以上を占める輸入クロマグロが途絶えたら、なおさら近海のクロマグロをしばらく休漁するなどして資源の育成期間が必要ではないでしょうか。

魚の持続可能性=フィッシュサステナビリティー(Fish sustainability) について考えてみましょう。

2010年2月8日月曜日

マグロをめぐる動き

□フランス取引禁止に賛成
2月4日(毎日新聞)
フランスは3日、大西洋・地中海のクロマグロについて、国際取引を禁止する措置に同意すると発表した。ただし「1年半の猶予」を設けることを同意の条件とした。ワシントン条約に基づくもので、世界最大のマグロ消費国・日本に影響が出る可能性が出てきた。

□赤松農相裁決微妙
2月5日(時事)
赤松広隆農林水産相は5日の閣議後会見で、大西洋・地中海産クロマグロの商業取引禁止を論議する3月のワシントン条約締約国会議の見通しについて「(投票結果は)微妙な差で決まる」との認識を示した。
*BSフジでは5票差程度と発言。

□取引禁止採決を指示
2月7日(産経新聞)
絶滅の恐れがある野生生物の国際取引に関するワシントン条約で、地中海と大西洋のクロマグロの国際取引を禁止すべきだとのモナコの提案について、同条約の事務局が6日までに、この提案を支持し「採択するよう勧告する」との見解を、日本を含む各国政府に示した。
日本政府は「クロマグロは取引禁止の基準を満たしておらず、絶滅の危機にひんしてはいない」とモナコ提案に反対姿勢を示しているが、否定された形だ。


厳しくなってみました。
日本は何か新機軸の提案ができないものか。

2010年2月4日木曜日

フランスよお前もか!

フランスがモナコが3月のワシントン条約会議に提案する『大西洋と地中海のクロマグロの取引禁止』に賛成すると発表しました。3月に開かれる条約締約国会議での交渉に影響を与えそうです。
クロマグロ規制がかなり現実味を帯びてきたように思います。
マグとも食べない西欧人から、日本の食文化を守れ!といった声が聞こえてきそうですが
わたしたち日本人が世界中からクロマグロを買いあさり、資源を減らしてきたことは事実です。
ここでじっくりマグロの持続可能性=フィッシュ・サステナビリティーについて、考えてほしいものです。

ワシントン条約とクロマグロについては、勝川先生のブログでもうすこし勉強してみます。

クロマグロ ワシントン条約 from 勝川俊雄 公式サイト

2010年2月3日水曜日

マグロの生い立ち

マグロといってもすべて天然のものとは限らない。
実際に食用となっているのは下記の三種。
1.世界の海で捕獲される天然のマグロ。
2.天然のマグロの幼魚を捕獲して成魚に育てる畜養マグロ。
3.卵を孵化させて成魚に育てる完全養殖マグロ。

今乱獲で問題になっているのは
天然マグロの高級種である「クロマグロ」や「ミナミマグロ」。
漁獲制限があるが、それを守らない違法操業も多いらしい。
畜養は天然に比べて、いかにも資源保護が可能なように 見えるが
天然の幼魚を捕獲することや大量の餌が必要になることから
「決して資源保護にはならない」という声もある。
また、理由は分からないが畜養マグロの在庫がだぶついて
需要が伸びていないらしい。
因みに、先日通販で購入した「畜養ミナミマグロの大トロ」の味はイマイチでした。
やはり大海を回遊していないので身に芯がないのかな。
脂っぽくてふにゃふにゃでした。

日本人が将来クロマグロを食べ続けることが出来るためには
「完全養殖マグロ」しかないかもしれない。

現在は近畿大学が開発した「近大マグロ」が市場に出回っていますが
政府や業界をあげてこの分野を伸ばしていってほしい。
でも、身に芯はあるのかなあ?

もちろん、天然マグロがフィッシュサステナビリティ(漁業資源の持続可能性)に
配慮した漁業環境に置かれ、食べ続けられることが最も望ましいことではあるけれどね。

2010年1月24日日曜日

畜養ミナミマグロを通販で買ってみた

ミナミマグロは日本ではクロマグロに次ぐ高級種。IUCNのレッドリストでは、1994年に"CR"(Critically endangered)、マグロ類のみならず野生動物としても最も絶滅が危惧されている動物の一つとして記載された。同じ1994年、主要な漁業国だった日本、オーストラリア、ニュージーランドによって「みなみまぐろ保存委員会」が設置された。

ミナミマグロは絶滅危惧種なのだ。そのことは知っている。

ネットの通販サイトで「ミナミマグロ激安!送料込み2,×××円」 を発見。
ネット通販でも買える「絶滅危惧種」って、と思い購入してみた。
クール宅急便で届いた冷凍の包みを見て、はじめて納得。

「南マグロ大トロ」「オーストラリア産畜養」とあった。
「天然」ではなく「畜養」だったのだ。

「畜養」ならば天然と違い、魚の持続可能性(フィッシュ・サステナビリティー=Fish sustainability)に配慮されているのだろうか。

ところが、そうではなさそうなのだ。

畜養とは、天然のまぐろを取ってきて、それを人工的に成育させているという事です。つまり、畜養マグロはもともと、天然マグロなのだ。以前までまぐろの畜養に用いた天然マグロは、体重にして30キロ前後のある程度成長した天然マグロだったが、現在ではまぐろを小魚で捕獲して畜養する ケースも目立ち始めている。つまり、大量の子マグロを大きくなる前に捕獲してしまっているのだ。
これが進めば生魚は益々減少することになる。
卵を孵化させて育てる=いうならばゼロから人の手で生み出す「養殖」とは似て非なるものなのだ。

畜養の問題は、青田刈りで生魚を減らすだけでない。
畜養マグロを育てるには、大量のエサが必要で、このエサも当然天然資源なのだ。
畜養マグロの体重を10キロ太らせるためには、200キロ前後にも及ぶエサが必要といわれ、イワシなどの他の種をエサとして与えている事になる。
餌となる魚が必要以上に捕獲されたり、本来の生育地域と異なる海に持ち込まれたり、海洋生態系(食物連鎖)のバランスが崩れる可能性が指摘されている。

畜養は、乱獲だということもできるかもしれない。

2010年1月20日水曜日

3月にクロマグロ全面取引禁止?!

日本人が消費の8割近くを占めるとされる「クロマグロ」が全面取引禁止になるかも知れない。

昨年モナコが大西洋と地中海のクロマグロの国際取引の全面禁止をワシントン条約事務局に正式提案した頃は、「そんなバカな」という反応もあった。
しかし、アメリカが大西洋に太平洋も加えたすべてのクロマグロの国際取引を禁止する案を、3月のワシントン条約締結国会議に提案するらしい、という情報が流れて一気に現実味を帯びてきた。
理由は日本市場に向けて、大量に捕獲、輸出された結果、絶滅が心配されるまで個体数が激減したからだという。

昨年11月15日には、大西洋クロマグロの資源管理機関「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT)が、ブラジルで開いた年次総会で、2010年の東大西洋と地中海のクロマグロの漁獲枠を09年と比べ約4割減の1万3500トンに削減することを全会一致で決めた。
水産庁によると、同海域での漁獲枠の引き下げ幅としては過去最大。
日本の枠も今年の1871トンから来年は1148トンになるという。 

アメリカはそれでも捕獲量が多すぎると主張。全面禁止の声を強めている。 


日本だけで食べていたらこんな事にならなかった。(中国、欧米食べないで)
ルールを守って操業していたらこんな事にならなかった。(違法操業やめてくれ)
計画通りに捕獲すれば減ることはない。(計画信じてくれ)


そんな、言い訳で乗り切れるのだろうか。
ひとまず、3月にカタールのドーハで開かれる、第15回「ワシントン条約(CITES)」締約国会議に注目です。


大間のマグロもご禁制になってしまうのか!(捕れても食べられないけど)




2010年1月17日日曜日

マグロの種類と状況

日本の食文化に燦然と輝く高級魚の代表、マグロ。
高級寿司屋から回転寿司、高級割烹から定食屋まで、どこでもお目にかかれるマグロ。
でも、実際には絶滅危惧種にしていされている種もあって、サステナ(持続可能性)の危機にあるのだ。
ひとまず、マグロの種類と状況をまとめます。
タイセイヨウクロマグロのワシントン条約入りなどの動きもあり、今年は下のリストに変動もありそうなので、注目します。

クロマグロ(黒鮪)
本近海を含む太平洋の熱帯・温帯海域に広く分布する。
マグロ属で最も美味で、最上等種。
□タイセイヨウクロマグロ(大西洋黒鮪)
マグロ属、ひいてはサバ科でも最大種である。地中海・黒海を含む大西洋の熱帯・温帯海域に分布する。 IUCNレッドリストで絶滅危惧種のDD(情報不足)に記載されている。
ミナミマグロ(南鮪)
南半球の南緯60度までの亜熱帯・温帯海域に分布する。
IUCNレッドリストではCR(絶滅危惧IA類 : 最も絶滅が危惧される動物のランク)に記載されている。
「ミナミマグロ保存委員会」がある。
メバチ(メバチマグロ/目鉢)
和名「メバチ」や英名"Bigeye tuna"は、大きな目に由来する。
赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息する。
世界的な漁獲量はキハダに次ぐが、日本での流通量は最多。IUCNレッドリストVU(絶滅危惧II類)。
ビンナガ(ビンナガマグロ/鬢長)
体長1m程の小型種。「ビンナガ」の称は長大な胸鰭を鬢(もみあげ)に見立てたもの。
赤道から南北に緯度10-35度の熱帯・亜熱帯海域に広く分布する。
IUCNレッドリストDD(情報不足)。
キハダ(キハダマグロ/黄肌・黄鰭)
第二背鰭と尻鰭が黄色で鎌状に長く伸び、体表もやや黄色を帯びる。
赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息し、漁獲量は8種の中で最多。
IUCNレッドリストLC(軽度懸念)。
□コシナガ(腰長)
マグロとしては小型種である。和名通り尾柄が長く、他種よりも体型が細長い。
キハダと体型が似ているが、尾部が比較的長いため、この名が付けられた。
日本南岸からフィリピン、パプアニューギニア、オーストラリア、マレーシア、インド、アラビア半島南岸等の沿岸域に分布している。
□タイセイヨウマグロ
タイセイヨウマグロの生息域は大西洋西部海域に限定される。
まぐろ類中、小型で、最大体長約1m、体重約20kgほどであり、一般的には72cmで6〜7kgである。

2010年1月12日火曜日

マグロの持続可能性について

マグロが高嶺の花になる。
マグロが捕獲禁止になる。
マグロが食べられなくなる。

マグロが食べられなくなったら死んでしまいたくなるほど、マグロが好きなわけではない。
でも、今大切なのは私たち日本人があらゆる魚の持続可能性について考えることだ。
その象徴がマグロだ。
マグロの未来への不安は、20年ほど前から話題になっていた。
同じ頃、ある政治家が尖閣列島の帰属問題で発言した『難しいテーマは賢い次の世代に任せよう』と言った言葉は、私たち日本人の多くがマグロの持続可能性について持っているイメージと共通している。
銀座の寿司屋で一貫2万円のマグロもあれば、回転寿司で一貫100円のマグロもあるのだから当分食べるに困ることはないだろう。難しい国際問題とかはその時なって考えればいい。
そんなところだろうか。
問題は、どうやったら銀座久兵衛でマグロを食べられる財力を得るかだ。

ん、間違ってはいないかもしれないが、ちょっと考えてみたい。
高級クロマグロだけだなく、お手頃なキハダマグロやミナミマグロがどんどん減っているのだ。

私はマグロの専門家では無いけれど、ここを通じて学習しながらマグロの持続可能性、魚の持続可能性(フィッシュ・サステナビリティー=Fish sustainability)について考えていきたいと思う。

外国人の友人に『結局日本人は食べ尽くすまで気が付かないんだよ』なんて言われっぱなしにしないために。