2010年7月6日火曜日

「沈黙の海」イサベラ・ロヴィーンさん

10月に名古屋で開催されるCOP10の100日前に当たる7月3日、ヨーロッパにおける水産資源の枯渇を告発したジャーナリスト、イサベラ・ロヴィーンさんが講演会をおこなうというので、出かけてみた。
スウェーデン近海のバルト海などにおける、鱈の激減の原因を科学的に立証してみせた。最大の要因は幼魚を食べてしまうこと。産卵できる親魚になる前に食べてしまうのだ。それでは減る一方なのはあたりまえだ。

人間は食物連鎖の上から下に向かって補食するらしい。
つまり、大きな魚から順に食べ尽くしていく。バルト海では鱈が食物連鎖の最上位にあり、いまそれを食べ尽くそうとしている。日本人が巨大なクロマグロや南マグロから食べ尽くすのと同様に。実際、畜養が盛んになるまでは、クロマグロの代わりにそれまで食べなかった「メバチ」や「キハダ」を刺身で食べていた。いずれ海の中は、中型魚~小型魚と食べ尽くし、海の資源で食べられるのは「クラゲ」と「プランクトン」になってしまうのだそうだ。

こんなことになった原因は5つ。
1.海で起こることは一般の人の目に付きにくい。
2.漁業が環境問題の視点からでなく、食糧問題、経済問題からしか論議されない。
3.共有地の悲劇=海の魚はみんなのものという意識から、規制が役に立たない。
4.経済活動の側面からしか考えないロビー活動団体。
5.漁業がうまくいかなくても助成金がある。

私たちの支払っている税金が、魚を減らすための助成金となり、目先の利益しか考えない団体の保身のために使われている。のだろうか。

いずれにしても私たちはただ、マグロが食べたい。やすく食べたい。たくさん食べたい。と、言っている場合ではないらしい。

フィッシュサステナビリティーを真剣に考えないといけない。

そうそう、最後にもう一つ、日本人がこんなに日常的にマグロを食べるようになったのは、ここ10年くらいのことで、かつては特別な日だけに食べていたものだと彼女もいっていた。
マグロを食べるのが日本の伝統的な食文化などというのは、ちゃんちゃらおかしいのだ。


イサベラ・ラヴィーンさんの「沈黙の海

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